ピン G400 MAX (2018年モデル) のクラブ特性を物理学的に数値データで分析しています。数値とグラフを見れば、このドライバーがあなたにマッチするかどうか一目瞭然です。ぜひ、理想のドライバー選びにお役立てください。
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弾道の高さの分析
弾道の高さは、ドライバーの飛距離に大きな影響を与えますので、適切なロフト角のクラブを選びたいですよね。物理学的には、弾道の高さはリアルロフトと重心深度の組み合わせで決まります。
☞「リアルロフト」って何?ソールに書かれている数字のこと?(ClickでOpen)
☞重心深度が深いとどうして弾道が高くなるの?(ClickでOpen)
ロフト角の数値
表示ロフト | 10.5度 |
リアルタイム | 11度 |
表示ロフトとの差 | +0.5度 |
分類 | 4.リアルロフトが少しプラス |
ラインナップ | 9度、10.5度(可変) |
解説 | リアルロフトは表示ロフトに対して+0.5度です。少し差がありますね。弾道がやや高めになります。 |
重心深度の数値
重心深度 | 48mm |
市場平均 | 38mm |
市場平均との差 | +10.0mm |
分類 | 5.かなり深い |
解説 | 重心深度は市場平均に対して+10.0mmです。かなり深いですね。弾道がかなり高くなります。 |
弾道の高さは?
弾道の高さの解説
リアルロフトは表示ロフトよりも0.5°大きいので少し球が上がり易いですが、そんなことよりも、このクラブの重心深度の深さにびっくりします。重心深度が市場平均よりも10mmも深いなんて初めて見ました。何はともあれ、この重心深度のおかげで、球はすごく上がり易いです。
ヘッドスピードが遅めの方(37m/s前後の方)でも、表示ロフト9°で球が上がると思います。「9°」って普通は超ハードヒッターじゃないと球が上がらないようなロフト角ですよ。ヘッドスピードが遅めでも9°で球が上がるって、ホントびっくりです。万が一、9°で球が上がりづらくても、ロフト角調整機能がついているので安心です。
表示ロフト10.5°は、とんでもなく球が上がり易いです。シニアの方や女性にもいいと思います。
逆に、ヘッドスピードが速い方は、このクラブはやめておいた方がいいです。9°でさえも球が上がり過ぎると思います。平均的なヘッドスピード(40m/s前後)の方なら、9°のやつのロフトを更に立てれば、なんとかなるかも知れませんが、それ以上のヘッドスピードがある方は、別のクラブを探した方がいいです。
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球の捕まりの分析
「球の捕まりが良い」とは「球が右に飛び難くなる」ということです。「球の捕まりが悪い」とは「球が左に飛び難くなる」ということです。右にミスしやすい方は捕まりの良いクラブ、左にミスしやすい方は捕まりの悪いクラブを選べば、OBが激減すること間違いなしです。
物理学的には、球の捕まりは重心角とネット軸回り慣性モーメント(NOMI)の組み合わせで決まります。ネット軸回り慣性モーメント(NOMI)の数値は、ヘッド重量に比例し、重心距離の2乗に比例します。
☞重心角が大きいとどうして球の捕まりが良くなるの?(ClickでOpen)
☞重心距離が長いとどうして球の捕まりが悪くなるの?(ClickでOpen)
重心角の数値
重心角 | 31度 |
市場平均 | 23度 |
市場平均との差 | +8.0度 |
分類 | 5.かなり大きい |
解説 | 重心角は市場平均に対して+8.0度です。かなり大きいですね。球の捕まりがかなり良くなります。 |
重心距離の数値
重心距離 | 46mm |
市場平均 | 39mm |
市場平均との差 | +7.0mm |
分類 | 5.かなり長い |
解説 | 重心距離は市場平均に対して+7.0mmです。かなり長いですね。その分だけNMOIが大きくなるので、球の捕まりがかなり悪くなります。 |
ヘッド重量の数値
ヘッド重量 | 203g |
市場平均 | 198g |
市場平均との差 | +5g |
分類 | 4.やや重め |
解説 | ヘッド重量は市場平均に対して+5gです。やや重めですね。その分だけNMOIが大きくなるので、球の捕まりが少し悪くなります。 |
ネック軸回り慣性モーメント(NMOI)の数値
ネック軸回り慣性モーメント(NMOI) | 15590gcm^2 |
市場平均 | 9477gcm^2 |
市場平均との差 | +6113gcm^2 |
分類 | 5.かなり大きい |
解説 | 球の捕まりを左右するNMOIの数値はかなり大きいです。球の捕まりがかなり悪くなります。 |
球の捕まりは?
球の捕まりの解説
重心距離が極めて長いので、NMOIも極めて大きくなっています。球の捕まりがかなり悪いです。重心角がかなり大きいので、球の捕まりが少しは良くなるかと思いきや、あまりのNMOIの大きさに全く追いついていません。実は、上のグラフで、このクラブのNMOIは、本当は右端よりももっと右です。横軸の最大値を15,000gcm^2にしてあるんですが、それを超えているんですよね。これはもう規格外です。
右のOBで苦しんでいる方は、このクラブを使わない方が良いです。右へのOBがもっと多くなってしまいます。球を右に打ち出してドローで戻すタイプの方も、このクラブは避けた方が無難です。すっぽ抜けのプッシュが出やすくなると思います。
逆に、フェードヒッターで、引っかけが怖い方には、このクラブは凄くいいかも知れません。思い切り左に振り抜いてもフェードで戻ってくると思います。
このクラブを持つなら、スイングの間ずっと、フェースをシャットに保つ必要があります。トップでフェースが上を向くようなスイングのことです。これだけNMOIが大きいと、一度フェースを開いたらスクエアに戻すのは大変です。しかし、フェースをシャットに保つことができさえすれば、こんなに素晴らしいクラブはないです。後述しますが、このクラブはオフセンターヒットに対する許容度が半端ないのです。
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指向性の分析
ドライバーは、「飛距離重視型」と「安定性重視型」に大別されます。低重心で有効打点距離が長ければ「飛距離重視型」、ヘッド慣性モーメント(MOI)が大きければ「安定性重視型」です。当サイトでは、これを「指向性」と呼ぶことにします。
大変残念なことに、物理学的に「低重心」と「大きいMOI」は両立しません。低重心にしようとするとMOIが小さくなってしまい、MOIを大きくしようとすると重心が高くなってしまうのです。どちらを重視するか、迷うところですよね。
☞MOIが大きいとどうして球が安定するの?(ClickでOpen)
ヘッドの高さの数値
ヘッドの高さ | 52mm |
市場平均 | 54mm |
市場平均との差 | -2.0mm |
分類 | 2.やや薄め |
解説 | ヘッドの高さは市場平均に対して-2.0mmです。やや薄めのヘッドですね。 |
重心の高さと有効打点距離の数値
重心高さ | 30mm |
市場平均 | 31mm |
市場平均との差 | -1.0mm |
分類 | 3.平均的 |
低重心率 | 58% |
市場平均 | 58% |
市場平均との差 | ±0% |
分類 | 3.平均的 |
有効打点距離 | 22mm |
市場平均 | 23mm |
市場平均との差 | -1.0mm |
市場平均との差 | 3.平均的 |
解説 | 重心の高さも有効打点距離も平均的ですね。 |
ヘッド体積の数値
体積 | 467cc |
市場平均 | 450cc |
市場平均との差 | +17cc |
市場平均との差 | 4.大きい |
解説 | ヘッド体積は市場平均に対して+17ccです。このヘッドは大きいです。安心感がありますね。 |
ヘッド慣性モーメント(MOI)の数値
慣性モーメント(MOI) | 5470gcm^2 |
市場平均 | 4288gcm^2 |
市場平均との差 | +1182gcm^2 |
分類 | 5.かなり大きい |
解説 | オフセンターヒットに対する寛容さを左右するMOIは、かなり大きいですね。オフセンターヒットに対して、非常に寛容です。 |
指向性は?
指向性の解説
このクラブを敢えて分類するなら、安定性重視型のクラブということになります。MOIが半端じゃなく大きいんです。実は、上のグラフで、このクラブのMOIは、本当は右端よりももっと右です。横軸の最大値を5,300gcm^2にしてあるんですが、それを超えているんですよね。ここでも、このクラブは規格外です。打点が多少ずれたとしても、曲がりは少ないし、飛距離のロスも少ないはずです。これはアマチュアゴルファーにとっては、極めて大きなメリットです。。
いつも同じ打点で打てる人達と言うのは、プロやほんの一握りの上級者だけです。一般的なアマチュアゴルファーの打点は、どうしても多少ぶれます。でも、このクラブなら、たとえ打点が少々ぶれたとしても、それでも飛ぶんです。一般的なアマチュアゴルファーにとっては、このような超安定性重視型のクラブの方が「平均飛距離」がむしろ長くなると私は思います。
そもそも、このクラブは重視が高い訳では全くないし、飛距離性能は決して低くないんです。それに加えて、この巨大なMOIで飛距離のロスが少ないとなると、私はこれを「飛んで曲がらないクラブ」と呼んでも差し支えないと思いますよ。
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アイアンとのマッチングの分析
クラブの振り易さは、総重量と長さで決まります。重いクラブより軽いクラブの方が振り易く、長いクラブより短いクラブの方が振り易いですよね。
アイアンはモデルによって総重量がかなり違います。5番が430gの重いアイアンもあれば、370gの軽いアイアンもあります。重いものと軽いものでは、振り易さが全く別物ですよね。アイアンの振り易さとドライバーの振り易さが、感覚的に似通っていれば、ゴルフをするのが凄く楽になります。
しかし、ここで問題が浮上します。例えば、5番が400gのアイアンを使っていたとします。では、それと振り易さが似通ってくるドライバーというのは、いったい何グラムで何インチなのか?ということです。下にグラフ化してありますので、ご参考になさってください。
クラブの総重量の数値
クラブ総重量 | 283g |
市場平均 | 298g |
市場平均との差 | -15g |
分類 | 2.やや軽め |
クラブの長さの数値
クラブの長さ | 46inch |
市場平均 | 45.5inch |
市場平均との差 | +0.50inch |
分類 | 5.かなり長い |
体感重量は?
アイアンとのマッチングの解説
飛距離アップを狙って、クラブ長を長く設定していますね。その分、総重量を軽くしています。セオリーをしっかり守っていますね。このクラブのヘッド重量は市場平均よりも5g重いです。しかし、総重量は市場平均よりも15g軽いです。つまり、もの凄く軽いシャフトを装着していると言うことです。軽いシャフトというのは、必然的にコストがかかる訳ですが、ピンさん、ケチらずに頑張ってますね。
確かに頑張って軽くしているし、これ以上軽くするのは困難だと分かっていますけど、このクラブのターゲットゴルファーに対しては、ちょっと体感重量が重いです。これだと、N.S.Pro950GHなど100g前後のアイアンシャフトを使っている方にちょうどいい重さです。
ロフト角の分析の項で述べましたが、このクラブのターゲットは、もっとヘッドスピードが遅くて、もっと軽いアイアンを使っている方々です。もうちょっと体感重量を減らしたかったですね。「ヘッド重量をもっと軽くすればよかったのに...」とか思ってしまいますが、こればっかりは我々ユーザーにはどうしようもないことですしね。
グリップエンドを少し余らせて短く握るとか、そういう工夫をするのが良いかも知れません。それが気持ち悪かったら、いっそのことシャフトを0.5~1.0インチぐらい切ってしまうのも良いかも知れません。グリップを替える時に、ついでにシャフトをのこぎりで切ってもらえば良いんですから、ゴルフ工房もせいぜい500円ぐらいか、あるいはサービスでやってくれると思います。
「せっかく長いクラブで飛距離が出るのにシャフトを切るなんてもったいない」って思うかもしれませんが、いくら長くたって、体感重量が重かったら、ヘッドスピードなんて上がりません。それこそ「無用の長物」なんです。
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総評
「MAX」というネーミングが、これほどマッチするクラブは他にないでしょう。重心深度も重心角も重心距離もヘッド体積も慣性モーメントも、もう全てが「MAX」なんです。以下がこのクラブの特徴です。
- 規格外に深い重心深度で、球がむちゃくちゃ上がり易い。
- 規格外に長い重心距離と規格外に大きいNMOIにより、球の捕まりが悪い。
- 規格外に大きいMOIにより、飛んで曲がらない。
球が上がり易くて、飛んで曲がらないなんて、MAXに夢のようですよね。でも、このクラブは人を選びます。とにかく、スイングの間ずっと、フェースをシャットに保てる方だけが、このMAXに夢のようなクラブの恩恵を受けることが出来るのです。そういうスイングを持っている方、あるいはそういうスイングを目指している方には、このクラブは凄くいいと思います。
右にミスする傾向がある方は、別のクラブを探しましょう。スライスが多発します。右に球を打ち出すドローヒッターも、このクラブは避けた方が無難です。すっぽ抜けのプッシュが多くなるかもしれません。ハードヒッターにも、お薦めしません。9°を選んだとしても球が上がり過ぎます。
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