【分析】ピン G400SF TEC (2018)

 

ピン G400SF TEC (2018年モデル) のクラブ特性を物理学的に数値データで分析しています。数値とグラフを見れば、このドライバーがあなたにマッチするかどうか一目瞭然です。ぜひ、理想のドライバー選びにお役立てください。

 

スポンサーリンク

 

弾道の高さの分析

弾道の高さは、ドライバーの飛距離に大きな影響を与えますので、適切なロフト角のクラブを選びたいですよね。物理学的には、弾道の高さはリアルロフトと重心深度の組み合わせで決まります。

☞「リアルロフト」って何?ソールに書かれている数字のこと?(ClickでOpen)

☞重心深度が深いとどうして弾道が高くなるの?(ClickでOpen)

 

ロフト角の数値

表示ロフト 10度
リアルタイム 10.8度
表示ロフトとの差 +0.8度
分類 4.リアルロフトが少しプラス
ラインナップ 10度、12度(可変)
解説 リアルロフトは表示ロフトに対して+0.8度です。少し差がありますね。弾道がやや高めになります。

 

重心深度の数値

重心深度 44mm
市場平均 38mm
市場平均との差 +6.0mm
分類 5.かなり深い
解説 重心深度は市場平均に対して+6.0mmです。かなり深いですね。弾道がかなり高くなります。

 

弾道の高さは?

 

弾道の高さの解説

リアルロフトが表示ロフトよりも0.8°も大きいことに加えて、重心深度がかなり深いので、球が極めて上がり易いです。ロフト角12°という設定があることでも、ピンがこのクラブをやさしいクラブにしようという意図が見えてきますよね。

まず第一に、このクラブはヘッドスピードが遅めのプレイヤーをターゲットにしたクラブです。ヘッドスピードが平均的以上(40m/s 以上)の方は、別のクラブを探した方がいいです。

ヘッドスピードが遅めの方(37m/s 前後の方)でも、表示ロフト10°のものを買いましょう。10°でも十分すぎるほど球が上がります。ロフト角調整機能がついているので、むしろロフトを立てた方が良い弾道になるかも知れないぐらいです。

表示ロフト12°のものは、とんでもなく球が高く上がります。かなり高齢のシニアの方や女性の中でも更に非力な方向けだと思った方が良いです。

 

スポンサーリンク

 

球の捕まりの分析

「球の捕まりが良い」とは「球が右に飛び難くなる」ということです。「球の捕まりが悪い」とは「球が左に飛び難くなる」ということです。右にミスしやすい方は捕まりの良いクラブ、左にミスしやすい方は捕まりの悪いクラブを選べば、OBが激減すること間違いなしです。

物理学的には、球の捕まりは重心角とネット軸回り慣性モーメント(NOMI)の組み合わせで決まります。ネット軸回り慣性モーメント(NOMI)の数値は、ヘッド重量に比例し、重心距離の2乗に比例します。

☞重心角が大きいとどうして球の捕まりが良くなるの?(ClickでOpen)

☞重心距離が長いとどうして球の捕まりが悪くなるの?(ClickでOpen)

 

重心角の数値

重心角 28度
市場平均 23度
市場平均との差 +5.0度
分類 5.かなり大きい
解説 重心角は市場平均に対して+5.0度です。かなり大きいですね。球の捕まりがかなり良くなります。

 

重心距離の数値

重心距離 42mm
市場平均 39mm
市場平均との差 +3.0mm
分類 4.やや長め
解説 重心距離は市場平均に対して+3.0mmです。やや長めですね。その分だけNMOIが大きくなるので、球の捕まりが少し悪くなります。

 

ヘッド重量の数値

ヘッド重量 197g
市場平均 198g
市場平均との差 -1g
分類 3.平均的
解説 ヘッド重量は市場平均に対して-1gです。平均的と言って良いでしょう。

 

ネック軸回り慣性モーメント(NMOI)の数値

ネック軸回り慣性モーメント(NMOI) 11887gcm^2
市場平均 9477gcm^2
市場平均との差 +2410gcm^2
分類 5.かなり大きい
解説 球の捕まりを左右するNMOIの数値はかなり大きいです。球の捕まりがかなり悪くなります。

 

球の捕まりは?

 

 

球の捕まりの解説

重心距離が長めでとてもNMOIが大きいため、球の捕まりが劇悪かと思いきや、とても大きい重心角が、球の捕まりを補っていて、結果的にほぼ平均的に近い球の捕まりになっています。素晴らしい設計ですね。

フェードヒッターにも、ドローヒッターにも、幅広い層の方にお薦めできます。

 

スポンサーリンク

 

指向性の分析

ドライバーは、「飛距離重視型」と「安定性重視型」に大別されます。低重心で有効打点距離が長ければ「飛距離重視型」、ヘッド慣性モーメント(MOI)が大きければ「安定性重視型」です。当サイトでは、これを「指向性」と呼ぶことにします。

大変残念なことに、物理学的に「低重心」と「大きいMOI」は両立しません。低重心にしようとするとMOIが小さくなってしまい、MOIを大きくしようとすると重心が高くなってしまうのです。どちらを重視するか、迷うところですよね。

☞低重心だと飛ぶのはなぜ?(ClickでOpen)

☞MOIが大きいとどうして球が安定するの?(ClickでOpen)

 

ヘッドの高さの数値

ヘッドの高さ 52mm
市場平均 54mm
市場平均との差 -2.0mm
分類 3.平均的
解説 ヘッドの高さは市場平均に対して-2.0mmです。平均的と言って良いでしょう。

 

重心の高さと有効打点距離の数値

重心高さ 31mm
市場平均 31mm
市場平均との差 ±0.0mm
分類 3.平均的
低重心率 60%
市場平均 58%
市場平均との差 +2%
分類 3.平均的
有効打点距離 21mm
市場平均 23mm
市場平均との差 -2.0mm
市場平均との差 2.やや短め
解説 重心の高さはほぼ平均的ですが、ヘッドが少し薄いので、有効打点距離はほんの少し短めです。

 

ヘッド体積の数値

体積 444cc
市場平均 450cc
市場平均との差 -6cc
市場平均との差 3.平均的
解説 ヘッド体積は市場平均に対して-6ccです。平均的と言って良いでしょう。

 

ヘッド慣性モーメント(MOI)の数値

慣性モーメント(MOI) 4830gcm^2
市場平均 4288gcm^2
市場平均との差 +542gcm^2
分類 4.やや大きめ
解説 オフセンターヒットに対する寛容さを左右するMOIは、やや大きめですね。オフセンターヒットに対して、やや寛容です。

 

指向性は?

 

指向性の解説

安定性重視型のクラブです。このクラブの最大の魅力は、何と言っても大きなMOIです。少しぐらい芯を外しても、曲がりも少ないし、飛距離のロスも少ないでしょう。

MOIが大きい分、有効打点距離は短めです。でも、ヘッドスピードが遅めの方にとっては、芯の少し上で球を打ったとしても、飛距離が伸びたりはしません。むしろスピン量が不足して飛ばなくなります。この設計で大正解です。

 

スポンサーリンク

 

アイアンとのマッチングの分析

クラブの振り易さは、総重量と長さで決まります。重いクラブより軽いクラブの方が振り易く、長いクラブより短いクラブの方が振り易いですよね。

アイアンはモデルによって総重量がかなり違います。5番が430gの重いアイアンもあれば、370gの軽いアイアンもあります。重いものと軽いものでは、振り易さが全く別物ですよね。アイアンの振り易さとドライバーの振り易さが、感覚的に似通っていれば、ゴルフをするのが凄く楽になります。

しかし、ここで問題が浮上します。例えば、5番が400gのアイアンを使っていたとします。では、それと振り易さが似通ってくるドライバーというのは、いったい何グラムで何インチなのか?ということです。下にグラフ化してありますので、ご参考になさってください。

☞クラブの総重量についての記事はここをClick

☞クラブの長さについての記事はここをClick

 

クラブの総重量の数値

クラブ総重量 291g
市場平均 298g
市場平均との差 -7g
分類 3.平均的

 

クラブの長さの数値

クラブの長さ 45.75inch
市場平均 45.5inch
市場平均との差 +0.25inch
分類 4.やや長め

 

体感重量は?

 

アイアンとのマッチングの解説

クラブ長が少し長めですね。飛距離アップを狙ったのだと思います。その分、総重量を少し軽くしていますが、ちょっと足りない気がします。つまり、もっと軽くした方が良かったです。標準シャフトの重量は、N.S.Pro950GHなど100g前後のアイアンシャフトを使っている方にちょうどいい重さです。ロフト角の設定を見る限り、このクラブのターゲットは、もっとヘッドスピードが遅い方です。なので、本当はもう少し軽くしてあげた方が良かったです。

例外的に、N.S.Pro950GHのRフレックスやそれに準ずるぐらい柔らかいシャフトであれば、良いマッチングになるかも知れません。柔らかいけど重めのシャフトでゆったりスイングしたいという方は、こういう組み合わせを試してみても良いかも知れません。

グリップエンドを少し余らせて短く握るとか、そういう工夫をするのも良いかも知れません。それが気持ち悪かったら、いっそのことシャフトを1インチぐらい切ってしまうのも良いかも知れません。グリップを替える時に、ついでにシャフトをのこぎりで切ってもらえば良いんですから、ゴルフ工房もせいぜい500円ぐらいか、あるいはサービスでやってくれると思います。

でも、上記の方法ですと、飛距離性能は落ちてしまいます。このクラブはオプションで別のシャフトを選ぶことも出来るようになっています。40g台の超軽量シャフトを挿せば、体感重量も軽くなり、飛距離も出ると思います。超軽量シャフトは少し値がはりますが、良いヘッドなので、そのぐらいの価値はあると思います。

 

スポンサーリンク

 

総評

このクラブのターゲットは明白に、「ヘッドスピードが遅い方」です。シニアの方や女性にも良いと思います。球がもの凄く上がり易いんです。

大きなMOIも魅力的です。少しぐらい芯を外しても、曲がりも少ないし、飛距離のロスも少ないです。このクラブのターゲットとなる方は、少しでも遠くまでボールを運びたい方だと思います。飛距離のロスが少ないのは嬉しいですよね。

ただし、標準シャフトは体感重量が少し重すぎるかもしれません。少しグリップエンドを余らせて短く握るとか、シャフトをカットしちゃうとか、軽いシャフトに挿しかえるとか、そういう工夫が必要だと思います。

なお、平均的以上(40m/s 以上)のヘッドスピードがある方は、このクラブのターゲットゴルファーではありませんので、別のクラブを探した方が良いです。

 

G400SF TEC を探してみよう!